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学校に行く前に不安や腹痛が強まる、10代の男児の例

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コロナ明けの小学6年から、不安、下痢・腹痛あり。

通常の時間に登校できず、近医で抗不安剤を投薬された。

外出も少なくなり、食欲も低下傾向のため、R4年11月当院初診。

採血結果は、

AST/ALT=18/10 ビタミンB6不足

LDH=158 ナイアシン不足

BUN=11.2 γーGTP=12 タンパク質不足

フェリチン=45 鉄不足

胃腸のコンディション改善のため、グルタミン3g ビタミンA3万単位 ビタミンD5000単位

1週間後、サプリメントが飲めるとのことで、ビタミンC ビタミンB ナイアシンアミド 鉄 メラトニンなど追加。

1月 就寝起床時間は一定化している。腹痛は軽減している。鉄増量を指導。

3月 昼食後の胃痛。サプリメントの減量を指導。

5月 朝も起床できる。腹痛はなくなったとのこと。

同時期の採血は、

AST/ALT=26/20 ビタミンBの活性化ありと解釈

LDH=178と上昇 ナイアシン不足はかなり解消

BUN=12.1 γーGTP=12 タンパク質不足はまだあり。摂取量の問題か、消化吸収問題がまだありそう。

フェリチン=172 とジャンプアップで鉄は一旦終了。

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胃腸のトラブルは、対処療法が中心となりがちの中、栄養療法で改善したと考えられました。

グルタミンは腸粘膜の栄養やエネルギー源として、ビタミンAとDは粘膜細胞の成熟化、再生を企図して優先することが多いです。

またこの症例は、潜在性ペラグラ、つまりナイアシン不足による下痢、腹部症状なのかもしれません。

ナイアシン治療で有名なホッファーは、人間はナイアシン欠乏からナイアシン依存症、つまり体内でナイアシン合成能を失いつつあるのではないか、という説も唱えていました。現代人には必須の栄養となるかもしれません。

by nakasone | 2023.06.24 |