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パニック障害で栄養療法実践も、キレート鉄の長期内服でフェリチン1400、胃腸不調の患者さんについて

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10年前に、車の運転時にパニック発作を生じ、その後内科や心療内科で投薬を受けた。

8年前に、長男を出産後はうつ状態に。心療内科の薬では治らないと思い、栄養療法を開始。

フェリチン16 タンパク不足を指摘された。

国内の医療サプリメントは高額のため、4年前より、藤川徳美先生の本を参考に栄養療法を開始。

3年前に、車の運転を近隣からするようになる。そわそわや息苦しさ、不安はあるが挑戦できる状態。

去年の年末から、胃の不調、立ちくらみ、食後の嘔吐あり。

今年1月に消化器内科受診。制酸剤や漢方を処方された。プロテインやサプリメントを控えるように言われた。

恐る恐る食事を取る状態になり、胃のむかむか、胃が熱い、食事2割で膨満感あり。

メンタルも落ち気味なので、栄養療法の相談をかねて今年の2月に当院初診。

採血結果は、

AST/ALT=23/34 脂肪肝

 ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ:ビタミンB6が補酵素 

ALTは肝臓に多い酵素のため、ALT優位の肝機能上昇は、脂肪肝を呈することが多い。

BUN=12.7 タンパク質不足

尿酸=3.8 抗酸化力の低下(ストレス耐性の低下)

ヘモグロビン/MCV=14.4/94.5 理想的な値

フェリチン=1400 ぶっとんでいます。悪性疾患も除外しないといけないかもしれませんが、他の酵素が上昇していないので、

キレート鉄過剰が最も疑われます。小腸真っ黒かも・・・

TIBC/UIBC/血清鉄=175/101/74 かなりの鉄過剰所見。鉄を運ぶトラックが優位に減少。

亜鉛/銅=109/88 理想的な比率

グリコアルブミン/血糖値=12.5/93 グリコアルブミン低値から、低血糖あり。(アルブミン=4.1)

ちなみに、胃カメラは慢性胃炎で、粘膜の肥厚が一部見られたようです。

グルタミンや、ビタミンA・Dなど粘膜再生を促すようにすること、ナイアシンアミドから、吐き気を考慮してナイアシンフラッシュフリーへの変更をアドバイスしました。(予期不安がどうしても強く、ナイアシン系を飲みたいと言うため)

もちろん、キレート鉄は中止です。

胃の不調から、糖質が中心の間食であり、再度指導を行いました。低血糖であり、少量頻回な食事摂取を指導しました。

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キレート鉄は、長期内服には注意が必要です。この患者さんは、72~108mg近くを数年継続のため、鉄過剰状態です。

他の血液検査の酵素の逸脱はあまり目立たないため、ヘモクロマトーシスの可能性は今のところ少ないと思われますが、

消化管への影響はあるかもしれません。フェリチンがここまで上がると、献血するか、瀉血するしかないでしょう。

独自にキレート鉄を継続するときは、定期的に検査することをおすすめします。

また長期内服にも安心な、ヘム鉄もおすすめです。海浜ハートケアlabo (shop-pro.jp)

 

by nakasone | 2024.02.18 |