割り切り力のススメ 第2章その(5)
今日は神戸は、暖かいような、寒いようなではっきりしない気温ですね。季節の移り変わりは、そういうものでしょうか。
人の気持ちも移ろいます。自分も周りの人もそうです。ずっと同じはありません。
変化を楽しめるようにありたいですね。
それでは続きを掲載します。
⭐️自分が思う自分と、他人が見た自分は違う
性格習慣病のところでもお話ししたように、人は自分のことが一番わからないものです。特に、「自分ばかり厳しくされている」「自分は嫌われているようだ」と感じるようなとき、その相手の目に、自分はどう映っているのかを少し考えてみると、悩みの構図が変化することがあります。
●先輩や同僚から敬遠され、孤立している
Eさん(40代・女性)は営業職で、目鼻立ちのくっきりとした美人でした。
「美人なら、悩みもなさそう」と思われるかもしれませんが、人によっては「キツい印象になる」などのデメリットもあるものです。
Eさんはサバサバした性格で、ものの言い方もはっきりしているので、「これはキツく受け止める人もいそうだな」という印象でした。
仕事の面ではそれがいい方向に働き、お客様の信用を得るなど、抜群の成績を上げているようでしたが、スタッフ間、特に先輩からは敬遠され、孤立する傾向にありました。
「直接、意地悪をされるようなことはないのですが、なんとなく先輩や同僚の態度に冷ややかなものを感じるんです。飲み会にも誘われなかったり……。仕事は好きなのですが、会社には行きたくない、と思うことが増えてきて、つらいです」
そう訴える彼女に、私は、
「先輩や同僚の方々が、あなたのことをどう思っているか、想像したことはありますか? どんなふうに見ていると思いますか?」
と、尋ねてみました。「仕事ができる」「美人」とは、さすがに答えづらそうだったので、助け舟を出し、
「あなたに対する嫉妬が多分にありそうです。容姿はさておき、成績で先輩たちを抜いてしまっていることは、みんながわかっているわけでしょう。勝ってしまった分、丁寧に物腰低く接すると、相手の気持ちも変わりますよ。『実るほど頭を垂れる稲穂かな』という言葉もあるでしょう」
と、アドバイスしました。ここで言う「物腰低く」とは、周囲の嫉妬をかわすために、あえて下っ端仕事を買って出る(例:来客へのお茶出し、電話取り、デスクの掃除や公共部の掃除、朝イチに出社など)ということです。
「あの人は実績があるのに、謙虚で初心に返れる人だな~」と思ってもらったり、よい評判がたてば、必ず陰の援護者が出てくるはずです。
その後、Eさんがまわりに物腰低く接するようになったことで、先輩たちの態度も少しずつ軟化し、「会社に行くのが憂うつではなくなってきた」とのことです。
何より大きかったのが、
「周囲の態度の原因が『嫉妬』と思えたことで、気持ちがスッキリしたこと」
だと話してくれました。
「スッキリした」とは「腑に落ちる」ということです。腑に落ちない状況は、人にストレスを与えます。腑に落ちない状況をため込んでいった結果、多くの人が深刻な精神状態に陥るのです。
自分が望んだ答えではなくても、「そういうことか」と割り切ることで「腑に落ちる」に近い状況に持っていけることも多々あります。
●あいさつをしても自分だけ上司に注意される
また、同じく営業職の30代男性は、いわゆる仏頂面の人でした。私の診療室に入ってくる歩き方、椅子の座り方などを見ても、少々荒っぽく、低い声でボソボソ話すので、正直「機嫌が悪いのかな」という印象を受けました。
この男性の悩みは、上司との折り合いが悪いとのことでした。「あいさつをしても、自分だけ注意される」などと言う彼の自己分析は驚くことに、「気が弱くて、人見知り」でした。そこで、私がこれまでに受けた印象を伝えると、
「本当ですか? そんな印象を与えていたなんて、想像したこともなかったです」
と、びっくりしていました。
たとえば、職人さんなど、家でひとりでする仕事の場合、ある程度の頑固ぶりや仏頂面も許されるかもしれませんが、組織の中で働く場合は、チームワークが大事です。
見た目の印象の良し悪しが対人関係を大きく左右すると言えます。
彼には「意識して笑顔でいること」「物腰を柔らかくしていくこと」を心がけるよう、アドバイスしました。
自分が思う自分と、他人の目に映る自分は違うもの。悩みの中にいるとき、人は特に自分の感情にだけ固執してしまいがちです。
そんなときこそ、相手に自分がどう見えているか、想像してみましょう。そして、相手の気持ちがわかったら、それを逆なですることがないよう、まずは自分を変えてみてください。
〈割り切るためのヒント〉
① 自分にイヤなことをしてくる相手にとって、自分はどう見えているのかを想像してみる。
② 職場では「物腰を低くする」など、相手にとって、好ましい方向に自分を変えてみる。
③ 腑に落ちない状況であれば、自分なりに理由を探って「腑に落ちる」状況に持っていく。
⭐️コメントです。
自分のことは案外わからないものですね。
他者という鏡が、自分を知るには必要なのでしょう。
須磨海岸も、秋になり落ちついています。海風がきつい日は少し寒いですが、天気の良い日はおすすめの神戸のリフレッシュスポットです☆
海浜ハートケアクリニック
院長 仲宗根 敏之
〒654-0045 兵庫県神戸市須磨区松風町5丁目2-33
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