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多動傾向を示した、グレーゾーンADHDの5歳男児の栄養療法例

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5歳男児

1歳の頃から多動傾向で、かんしゃくがひどく養育しにくかった。

市の療育センターでは、発達の遅れは指摘されず。

保育園に入り周囲になじめず、運動会後、更に行き渋るようになる。

療育を受けるが、朝登校を嫌がり行かせることが大変と。

栄養療法を最近知り、タンパク質の摂取を増やしていた。

相談目的でR5.11/4当院初診。

初診時の採血結果は、

AST/ALT=33/20 多動や運動で筋肉から酵素が逸脱して、ビタミンBの不足ははっきり見えず

( ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ 補酵素であるビタミンB6不足すると低値に 20/20ぐらいが理想)

LDH=261 筋由来の酵素の逸脱あり

γーGTP=10 低値。肝臓の解毒能力の低下あり

総コレステロール=120 低値。コレステロールは脳の複雑な神経細胞形成に重要。体内のホルモンの原料

BUN=17.7 タンパク質代謝は理想的

クレアチニン=0.29 低値。筋力低下。クレアチンは、筋肉だけでなく、脳のエネルギー供給や、大脳半球の連携にも関与。

ヘモグロビン/MCV=13.2/84.9 鉄不足あり。MCVが理想的には95前後ほしい

フェリチン=24 重度の鉄不足。男性では100前後ほしい

TIBC/UIBC/血清鉄=299/146/153 バランスは悪くないが、何かマスクされていそう

亜鉛/銅=81/100 亜鉛不足は顕著。血清銅が高い人は、衝動的になりやすい。(ドーパミン系のインバランス)

グリコアルブミン/血糖値=12.3/94 低血糖あり。糖質が多いため、インスリン過剰分泌の可能性が高い(14.5ぐらいが理想)

1.5AG=16.2 食後高血糖ありそう 18をカットオフライン

 

低血糖に関しては、お菓子や清涼飲料水のできるだけ回避することを指導

年齢も考慮して、インクレミン10mlを処方開始。

R5.12月 多動に対してナイアシンフラッシュフリー、EPA・DHAを追加。

R6.3月 保育園での集団生活はなんとかできる。衝動性や暴力性がましな印象と。

同時期の採血のフェリチン=44でまだまだのため、あしたのげんき!(ヘム鉄とビタミンBのサプリ)を追加。

マグネシウムも追加。(精神安定や、糖代謝のサポート、多動改善を期待して)

R6.10月 運動会前後は、騒動になったが、普通のクラスは通える。サプリメントの内服は実際は半分程度であったと。

同時期のフェリチン=89 Hb/MCV=13.8/85.5と上昇あり。

コレステロール=135と上昇 (タンパク質の摂取増加でも上がる。エネルギー代謝がうまくいき、アセチルCoAが作られると増加)

亜鉛/銅=57/103 亜鉛不足が目立つので、亜鉛30mg追加。

R6.12幼稚園も行けている。集団行動も問題なく、本人にも意欲が出てきたと。 父喜ぶ。 メチルB12を追加。


 

改善余地はまだまだありそうですが、初診時は半信半疑そうなお父さんが、12月に来られた際に、妙にかしこまってお礼を言われたことがうれしかったです。笑 いい方向ということですね。

ADHD・多動傾向のお子さんは、鉄、亜鉛不足が見逃されていることが多いです。アメリカでは90%以上はあるのではないかと言われています。

一般医療機関では、フェリチンや血清亜鉛、銅は測定しません。是非チェックをお願いしてみてください。


 

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by nakasone | 2025.01.30 |