甲状腺機能低下症(橋本病)の栄養療法改善例②
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母の介護や、熱中症、橋本病の罹患をきっかけに、R4頃から動悸、不眠、頭痛、耳鳴りなどに悩むようになる。
12月に心療内科を受診し、リーゼやジェイゾロフトの処方を受けた。
多少ましになるが、買い物でもふらつきが生じ、自炊も困難なため
R5.3/14当院初診。
<初診時採血結果 問題のあるところだけピックアップ>
BUN=13 タンパク不足ありと判断。初診時は脱水があり。
グリコアルブミン=16.1 高血糖あり。
白血球数4700
白血球分画=好中球(39.5L)リンパ球(50.1H)好塩基球(1.1H)
リンパ球が逆転。慢性疲労で、アドレナリンが出ないため、好中球が過度に低下。血圧の維持や起床が困難になりそう。
血清亜鉛/銅=75/111 亜鉛不足顕著。他のミネラルも不足を想定。
25OHビタミンD=18.5 目標は50以上。特に自己免疫疾患がある人は、100を目指したい。
<初診時指導>
タンパク質の摂取、プロテインの利用の上、ナイアシンアミド、ビタミンD、亜鉛などから開始。
途中、胃もたれで飲めない時期もありながら、少しずつサプリメントの種類を増やす。
R5.8月 夏は外出できない。倦怠感や胃もたれ、耳鳴りもあり。ナイアシン200mg/日追加。
R5.10月 36.6度に平熱があがる。去年はこの時期は落ち込みがあったが、ましと。
R6.1月 娘に会いに東京へ行けた。
R6.2月 バス旅行にも行けた。リーゼの内服は忘れることも。ゴルフにも参加。
R7.5月 当院での採血
TSH=0.02L チラージン効き過ぎ 内科で減量を
抗サイログロブリン抗体=261H 自己抗体あり。微量ミネラル(セレン含有)を追加。
白血球分画 好中球(36.9L)リンパ球(54.9H) 依然として慢性疲労がありそう。アドレナリンが出ていないか、リラックスしすぎか・・・
R7.9月 暑さが苦手。お盆も控えるので不安と。チロシン追加して、アドレナリンが出やすいように。
R8.1月 甲状腺の自己抗体は範囲内になり、チラージンが効き過ぎで過剰症状態のため、中止に。
内科データ TSH=0.007L FT4=1.45 FT3=4.18H TRAb=1.9(<2)
内科医は、「たまにバセドウ病に変わる人が100人に1人はいるから」との説明でした。
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当初は減薬希望で栄養療法を始めましたが、慢性甲状腺炎(橋本病)が軽快した例です。
橋本病の本質は、単なる「ホルモン不足」ではなく、「甲状腺濾胞細胞における酸化ストレス障害と、それに対する自己免疫反応」です。甲状腺ホルモン合成の過程で必然的に発生する活性酸素(過酸化水素)を、いかに処理するかが治療の鍵となります。
セレン、亜鉛、鉄などが重要になります。抗酸化のビタミンC、ビタミンEなども重要になります。
橋本病に対する栄養療法の5つの重要ポイント
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セレンによる「グルタチオンペルオキシターゼ(GPx)」の活性化と細胞保護
甲状腺ホルモンの合成には、過酸化水素が不可欠ですが、これは強力な活性酸素でもあります。通常、グルタチオンペルオキシターゼ(GPx) という酵素がこの過酸化水素を水に無毒化し、甲状腺濾胞細胞を守っています。
GPxの活性中心にはミネラルのセレン(Se)が必要です。セレン不足によりGPxが機能しないと、過剰な過酸化水素が自らの濾胞細胞を攻撃し、破壊された細胞から抗原が漏出、それが抗サイログロブリン抗体(TgAb)や抗TPO抗体の上昇を招きます。
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鉄(フェリチン)不足の解消とTPO酵素の安定化
甲状腺ホルモンを合成する酵素「甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)」は、ヘム鉄を構成成分とします。したがって、鉄欠乏(低フェリチン)があると、ホルモン合成能力そのものが低下します。
オーソモレキュラーの観点では、フェリチン値(貯蔵鉄)が低いと、細胞内のエネルギー産生(ATP合成)も低下し、甲状腺機能低下に伴う「ダルさ・冷え」を増悪させます。鉄の充足は、TPOの働きを助け、過剰な刺激(TSHの上昇)による甲状腺腫大を防ぐためにも重要です。
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亜鉛によるホルモン変換と抗炎症作用
甲状腺で作られるホルモンの主成分はT4(サイロキシン)ですが、体内で活性を持つのはT3(トリヨードサイロニン)です。T4からT3への変換酵素(脱ヨード酵素)は亜鉛(Zn)依存性です。
また、亜鉛はSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)という抗酸化酵素の構成成分でもあり、慢性炎症状態にある甲状腺組織の酸化ストレスを軽減させるために不可欠です。亜鉛不足は、ホルモン数値が正常でも「効きが悪い(低T3症候群に近い状態)」を引き起こします。
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過酸化水素の制御と抗酸化ネットワークの強化
橋本病の炎症が強い時期は、甲状腺内で「火事」が起きている状態です。前述のGPx(セレン)に加え、細胞膜を守るビタミンE、細胞内の還元力を維持するビタミンCなどの抗酸化物質を複合的に摂取し、抗酸化ネットワークを強化する必要があります。
これにより、過酸化水素による組織破壊(アポトーシス)を最小限に食い止め、甲状腺の萎縮を防ぎます。
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抗サイログロブリン抗体(TgAb)を指標とした炎症コントロール
一般診療ではTSHやFT4などのホルモン値のみを重視しがちですが、栄養療法では抗サイログロブリン抗体(TgAb)や抗TPO抗体の数値を「甲状腺の破壊活動の指標」として重視します。
セレン、亜鉛、ビタミンD、そしてグルテンフリー(リーキーガット症候群への介入)などの食事療法を行うことで、これらの抗体価を有意に低下させることが可能です。抗体価を下げることは、将来的な甲状腺機能低下のリスクを下げることに直結します。
過去のブログもご参照ください。
甲状腺機能低下症(橋本病)の栄養療法改善例 | 海浜ハートケアクリニック

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