割り切り力のススメ 第3章
急に寒くなりました今日この頃です。
体調管理には注意したいですね。
今週末は、神戸もかなり冷え込むそうです。
冬のコートの準備が要りますね!
第3章を掲載されて頂きます。行動療法の一角を描きました。ご参照ください。
⭐️過去の心の傷にとらわれて……
自分に自信が持てないときの「割り切り力」
いじめられた、周囲から孤立した、失恋したなど、10代までに受けた心の傷がトラウマとなり、行動の自由すらも奪っていってしまう……。
こうした傷を受けた人は「自分は愛されている」「自分はこのままでいいんだ」と思える「自己肯定感」が低くなる特徴があります。
自分に自信が持てないことが原因で、人間関係や勉強、仕事など、あらゆることがうまくいかなくなっている人は多いものです。
しかし、どんな家や環境に生まれるかを、人は選べません。
自分ではどうしようもないことが原因で苦悩する人が多いのです。その呪縛をどう割り切れば、私たちは自由になることができるのでしょうか。
過去のいじめの傷に縛られている
Fさん(20代・男性)は高校時代にあったいじめのせいで自分に自信が持てず、対人関係がうまく結べないことに悩んでいました。
私はこんなとき、よくこう言います。
「過去に起きたことは過去のことだと割り切って、今を充実させてください」
今が充実すれば、未来が変わっていきます。勉強したり、仕事をしたり、趣味に打ち込むなどで今が充実すると、未来の暮らしもいきいきと充実したものになります。
すると、自分の過去の出来事に対する解釈や見方が変わっていくのです。過去の出来事自体は変わっていないのに、その見方が180度変わることもあります。
たとえば、いじめにあっていた過去に対して、「あれはあれで私の歴史の1コマだった」と思え、「自分は人に対していじめはしない」「自分は人に対して優しくなろう」と、過去のトラウマを自分の強さに変えていくことができます。
もちろん現実的には簡単ではありません。トラウマが大きければ大きいほど修復には時間がかかります。
●人間関係に自信が持てず、ひきこもりに
Fさんが私のところへやってきたのは、人間関係に自信が持てず、会社を退職してひきこもっていた時期のことでした。
Fさんが抱えるたくさんの問題の中のひとつに、「女性の視線や笑い声が気になる」というものがありました。学生時代のトラウマから、女性に対し、「見られているのではないか」「笑われているのではないか」という不安を強く引きずっていたのでした。
もちろん、「笑われている」というのは、彼の思い込みです。私は、
「街中で、歩いてくる人、10人を見てきてください」
と、彼にひとつの宿題を出しました。
「見られているのではないか」という不安を逆手に取って、街中を歩いて、果たして何人が実際にFさんを見ているかを体感してもらおうと考えたのです。
1週間後、Fさんがやってきて、
「すれ違うときに、ちらっと目が合うことはありましたが、じーっとこちらを見ている人はいませんでした」
と、報告してくれました。
「案外、他人は私のことは見ていないものですね」とFさん。
「同じように、会社の人も自分の仕事に必死で、あなたのことをそれほど見ていませんよ。もちろん、笑ってなんかもいません。人はそれほど、他人を見ていないんです」と私は伝えました。
●実証実験で、健全な思考を強化
これは「実証実験」といい、頭の中で想像しているだけでなく、リアルに体感することにより、健全な思考を強化していく方法です。
「見られている」「笑われている」というのは、Fさんの「思い込み」でした。
「思い込み」は、自分で自分の思考にラベルを貼って名前をつけるような行為です。現実とはかけ離れている場合が多いのですが、心の健康が失われているときは、心が硬く柔軟性を失っているため、その思い込みに固執してしまうのです。
Fさんに出した宿題は、思い込みを外し、考えの幅を広げてもらうためのいわば「心のストレッチ」でした。
この試みは当たり、終始硬かったFさんの表情が少しやわらいで見えることが多くなっていきました。
もちろん、これでFさんのトラウマがすべて解消されたわけではありません。
しかし、100背負っていた問題のひとつがひとまず解決されたのです。先述したようにひとつでも「解決した」という成功体験は、次の一歩を踏み出しやすくしてくれます。
次の一歩として私は、
「仕事以外で、何か、熱中できそうなものはありませんか?」
と、聞いてみました。
人は何かに「熱中する」「ハマる」とき、エネルギーがわき出るものです。何かに熱中することを足がかりにして、外の世界とつながることができる、引きこもりの空間から抜け出せるきっかけになるのです。
Fさんの最終的な希望は「また普通に会社で働けるようになりたい」とのことでしたが、一足飛びにそこを目指すのは難しい。それよりも、まず枯渇してしまっているエネルギーを自分自身で満たせるようにしてほしい。
そのためにも、仕事のように「しなければならない」というものではなく、Fさんの心が望んでいることにまず熱中してほしいと思いました。
Fさんはもともと興味があったパソコンを自分で組み立てることに熱中するようになり、買い物にも必要性から積極的となり、やがて職業訓練校に通えるまでになりました。
〈割り切るためのヒント〉
① 「実証実験」をすることで現実を直視し、思い込みを捨てる。
② 自分が興味のある勉強をしたり、仕事をしたり、趣味に打ち込んだり、今を充実させることに集中する。
受付の癒し空間です。医院のシンボルツリー!?と、ハンドメイドで医院のイメージで作って頂きました、小鳥モチーフのオブジェです♪
海浜ハートケアクリニック
院長 仲宗根 敏之
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