17歳高校生のうつ状態への栄養療法と、クリニックからの卒業
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17歳男子高校生。
父親は厳格な性格で、曲がったことは許さず、手がでることもしばしばあった。
小学校時代も校友関係で苦労することがあり、中学になり父に対しては受容できるようになった。
高校に入り、水泳部に所属したが、顧問が父権的で父親とかぶることや、部員同士でのもめ事に巻き込まれるなど、心理的負荷が多かった。
不安や焦燥感、抑うつ気分、意欲低下、父への恐怖心を主訴にR7年7月初診。
初診時は、兄との受診であったが、ただならぬ緊張感と雰囲気があり、不安も強く、少量の投薬は必要と判断。スルピリド100mgやソラナックス0.4mg処方し、血液検査も行った。
血液検査の結果は、
AST/ALT=27/40 脂肪肝あり。
LDH=153 ナイアシンの不足。
BUN=11.8 タンパク質不足。
尿酸=5.7 好塩基球=0.7 白血球=10600 好塩基球=7420 好塩基球が多く、ヒスタミン過剰
低メチレーションか
リンパ球=26.7 <35で交感神経優位、緊張あり。
UIBC/MCV/MCH/フェリチン=205/91.2/30.4/120
鉄不足はありそう。赤血球の低色素性変化あり。脂肪肝でフェリチンは高値。
グリコアルブミン=12.6 低血糖あり。副腎疲労もありそう。
血清銅/亜鉛=116/81 亜鉛不足あり。
R7年8月再診
内服の効果は判然としない。ビタミンB群不足が目立つので、ビタメジン50mgとクエン酸鉄50mgを追加。安定剤の変更を行う。
その後も不安感が拭えないため、セルトラリン25mgを追加。
R7年9月
3回目の再診時に、父親が来院。投薬治療への抵抗感、内服が合っていないとクレームあり。
母親の前で、もの投げ、物を蹴るなどあり。父とも大げんかになったと。
本人は、自分は物理脳で、化学や歴史の本で感動するが、コミニケーションは他人の真似事でここまでやってきたと吐露。自分が悪いんじゃないかと考えることが多く、落ち込みやすく、ひどくなると希死念慮があったと。
父へ栄養療法の説明と、鉄不足、タンパク不足など指摘し、投薬は中止し、
5-HTP100mg(セロトニンの原料アミノ酸)、ビタミンB群100mg、鉄36mgなどサプリメントを開始。
R7年10月
学校は1回だけ休んだ。朝はまだややしんどいと。表情は緊張感が緩和した印象。
小走りすると、くらくらするとのこと。
鉄の増量と、ビタミンC2g、ナイアシンアミド2gを追加説明。
R7年11月
朝は時間がかかるが、起床できる。
出席日数もクリアーできそうと。夢の内容が、すごいいい夢を見るとのこと。
R8年1月
センター試験も無事にクリアーし、希望校へ出願できるレベルであったと喜んでいる。
血液検査の結果は、
AST/ALT=29/22 脂肪肝改善。
LDH=141 ナイアシンの不足は継続。肝臓への負担や、運動によるLDH逸脱が初診時はあったと解釈。
BUN=14.7 タンパク質代謝はかなり改善。
尿酸=6.6 好塩基球=0.7 白血球=9400 好塩基球数=6580 抗酸化力や、エネルギー水準の改善。
リンパ球=27.6 <35で交感神経優位、緊張あり。 受験生だからやむなし。
UIBC/MCV/MCH/フェリチン=230/87.5/29.8/51 MCVもフェリチンも低下。胃炎・脂肪肝など初診時のマスクが取れたか。
グリコアルブミン=12.8 まだ低血糖あり。間食指導。
血清銅/亜鉛=99/88 亜鉛不足あり。
R8.3月
後期試験まで受験できたと。父は高校が卒業できたことが目的で、受験結果にはこだわらないと喜んでおられました。うちの子は、薬が合わなかった。サプリメントで良かったですと。
父子関係の緊張状態が緩和した印象で、当院は一旦終了となりました。
アスペルガー症候群の要素を持ちながら、高校の対人関係の複雑化から、二次性に不安抑うつ状態を呈したと考えられました。
当初は、投薬しましたが、その後に親御さんが希望しないため中止し、栄養療法へ移行しました。
私としても、初診時に、未成年の方に自費診療を勧めるわけにもいかないですし、診察時の不安・緊張がただならぬ感で、家庭内緊張や背景因子がありそうでしたので、やむなく投薬した理由を父親へ説明しました。
栄養療法的には、タンパク不足、鉄不足などがメインかと考え、5HTPの利用に踏み切りましたが、
彼には合っていたようです。 低メチレーション=セロトニン・ドーパミン不足
今回ご紹介したケースでは、低メチレーションの可能性が高いですが、
高メチレーションの方は、セルトラリン(SSRI)が合わないケースがあります。すでにセロトニンが脳内で高いためです。うつ病の方で、2割ぐらい存在するようです。
ジェイゾロフト、セルトラリン、レクサプロなどで吐き気が強く出たり、焦燥が強くなるひとは
高メチレーション(葉酸欠乏)を疑ったほうがいいかもしれません。
「なぜ、低メチレーション状態の人に、葉酸を投与すると悪化することがあるのか?」 | by kenshi.miyazawa | 分子栄養学実践講座 | Medium
