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人と会うこと、座位で特にしんどくなるパニック障害の方の栄養療法改善例

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30代女性です。

サービス業に従事し、途中育児休暇も取得した。

現在、第2子の育休中であるが、2週間前より、めまい、はきけ、頭から血の気が引くような発作を繰り返し、救急搬送された。MRIも問題なし。

スーパーでの買い物も難しくなり、家でも動きにくくなったため、R7.6月当院初診。

 

<初診時の採血結果>

AST/ALT=11/10 ビタミンBはかなり不足。アミノ酸がうまく代謝できない状態。

( ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ アミノ基転移反応を司る。補酵素であるビタミンB6不足すると低値に 20/20ぐらいが理想)

LDH=134 ナイアシンも不足。エネルギー産生や、脳内のセロトニンやドーパミンもうまく作れない。

総コレステロール=175 <180

(コレステロールはアセチルCoAから作成される。エネルギー不足でコレステロール低下)

BUN=7.6 タンパク質代謝も低値。タンパク不足は、トリプトファンが不足しやすくなる。

セロトニン不足。

ヘモグロビン/MCV/MCH=13.2/88.9/28.8 鉄不足あり。MCHは32ぐらいが理想。

フェリチン=15 貯蔵鉄もかなり低値。ミトコンドリアのATP産生に支障。

TIBC/UIBC/血清鉄=387/277/110  UIBC>200であり、鉄不足。

亜鉛/銅=87/94 炎症や、ホルモンバランスは大きくは崩れていない印象。

グリコアルブミン/血糖値=11.7/79 低血糖顕著(14.5ぐらいが理想)

脳のエネルギー不足で、アドレナリンやコルチゾールが過度に出ている印象。=副腎疲労

1.5AG=15.8 食後高血糖あり。 18をカットオフライン

 

<実際のアドバイス>

低血糖が顕著なため、1日4~5回の頻回食の指導、タンパク質を必ず合わせること、不足した際は、プロテインの積極的な利用を指導。

サプリメントは、女性であり内服できるかを試すため、ビタミンC、ビタミンB、鉄のみから開始。

リーゼや苓桂朮甘湯など内服も併用。

 

<その後の経過>

R7.7月 頻度は減るが、予兆は感じることが多い。月経前は、頭痛やめまい、吐き気が悪化する。

JRで夫と一緒なら外出できた。

 

R7.8月 座っていて、話をすると血の気が引く。気持ち悪くなる。子どもの通院でもしんどくなった。

 

<R7.9月 2回目の採血結果>

AST/ALT=17/13 ビタミンBはかなり上昇。

LDH=160 ナイアシンも上昇。

総コレステロール=199 だいぶましになる。エネルギー代謝が改善か。タンパク質の摂取も寄与。

BUN=11.8 タンパク質代謝も改善も、まだ不足。

ヘモグロビン/MCV/MCH=13.3/88.5/28.9 あまり変化なく、鉄がうまく利用できていない、原料不足か炎症か。

フェリチン=72 貯蔵鉄は上昇。かくれ炎症で、鉄がうまく利用できていないかも。

TIBC/UIBC/血清鉄=282/152/130  バランスは改善。

亜鉛/銅=106/83 亜鉛不足が目立つように。同じ陽イオンのマグネシウムも足りなさそう。

グリコアルブミン/血糖値=11.5/103 低血糖まだ継続。

1.5AG=12.1 食後高血糖ないし、ビタミンCの内服の影響か。

 

<考察>

低血糖が依然として顕著のため、耐糖能因子であるクロム、エネルギー代謝の支えとしてマグネシウムも追加。

 

<サプリを追加してから>

R7.10月 めまい、立っていられないことがましになった。全体的な体調のベースアップを感じると。

電車もまた、単独でチャレンジしてみたいとのことでした。

なんとか復職にこぎ着けれそうで、良かったです。


<考察>

低血糖によるエネルギー不足、慢性経過による副腎疲労に伴う血糖維持困難、

筋力低下に伴う糖新生の支障、体位変化に伴う自律神経調整や血流維持(アルドステロンやカテコラミン)に支障がある、などが想定されました。

クロムですが、非定型うつ病(過眠、過食、浪費など)に70%有効との論文もありました。

Effectiveness of chromium in atypical depression: a placebo-controlled trial – PubMed

耐糖能因子とは、インスリンが細胞にくっつきやすくなり、糖の利用が3倍になると言われています

=エネルギーの安定化

クロム | Linus Pauling Institute | Oregon State University

マグネシウムも解糖系・TCA回路内でエネルギー産生に関わり、またATPの安定化に必要です。

マグネシウムとエネルギー代謝。 – 早川医院

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海浜ハートケアクリニック
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by nakasone | 2025.10.31 |