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割り切り力のススメ 第2章 その(1)

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明日は選挙ですね。

日本の将来を決める選挙です。皆さんも雨にもマケズ、風にもマケズで一票を投じましょう。

意外とスッキリしますよ。

それでは、切りのいいところまで、第2章を公開させて頂きます。

⭐️まずは、悩みの中で一番多いといわれる、対人関係の悩みから、お話ししていきましょう。

取り引き先に、厳しくあたってくる人がいる

Aさん(60代・男性)は勤めていた大手企業を定年退職した後、別の職場に再就職しました。大手企業でバリバリ働いていたAさんにとって、現在の仕事はラクではあるけれど、単純で物足りない仕事のように感じました。

しかし、いかにラクな仕事といえども人間関係はつきまといます。Aさんの仕事の取り引き先に、何かとAさんに厳しくあたる人がいました。60歳を過ぎてこのような仕打ちを受けると思っていなかったAさんは落ち込み、食欲がなくなり、家族にイライラをぶつけるようになりました。

定年が65歳に引き上げられたように、60代はまだまだ元気な世代で、隠居よりも、引き続き働くことを選択する人が多いです。しかし、その場合、これまでとは違う慣れない業種につかざるを得なくなり戸惑ったり、自分よりもうんと若い上司の下で働くことになり、プライドが傷ついたりなど、悩みを抱える方が増えているように思います。

そんなふうに、ただでさえナーバスになっているところへの、取り引き先からの理不尽な仕打ちがAさんに追い打ちをかけているようでした。

精神的に余裕を失っているとき、人は視野までも狭めてしまう傾向があります。すると問題点しか認識できなくなってしまうのです。そこで、私はAさんに、

「どこにでもイヤな人、苦手な人はいるものです。でも、職場にいるほとんどの人はいい人ではないでしょうか?」

と、問いかけました。

世の中にはいろいろな人がいます。言い方のきつい人、人に対して尊大な態度を取る人、どうにもうまくやっていけそうのない人に出くわしてしまうことも一度や二度ではないでしょう。

そんなときは落ち着いて、一度、周囲にいる人を見渡してみてください。その8~9割の人は善良な人、あるいは特にあなたにイヤな思いをさせない人ではないでしょうか。

Aさんの場合も、職場のほとんどの人は優しく、親切だということでした。意地悪なのは取り引き先のその人のみにもかかわらず、その人のことだけで頭がいっぱいになっていたようです。

「たしかに、仕事全体から見れば、取り引き先でその人と顔を合わせる時間はほんのわずかなものです」

と、Aさんは答えました。そこに気づくことができれば、たとえ次に会ったとき、意地悪なことを言われたとしても、「どうせ、これだけのことだ」と割り切ることができるかもしれません。

私はAさんの背中を割り切る方向へ押すために、さらにこんなことを言いました。

「もしかしたら、取り引き先のその方も今の職場でストレスを感じることがあるのかもしれませんし、大手企業にいたというキャリアのあるAさんがうらやましいのかもしれませんよ。今は社会全体が病んでいるような状態ですから、意地悪なことをする人も何かそうせざるをえない理由があるものです」と。

「社会全体が病んでいるような状態」とは、私が患者さんを診ていると、日本全体の問題を感じるときが少なくないためです。

バブル崩壊後の低成長時代、労働賃金が上がらない時代、成長が望めない閉塞感、限られた人員への負担の増加など、構造的な問題で個人の力では抗いきれない問題が多くなっています。

皆さんゆとりが無くなってきて、メンタルの不調が増えているようです。
Aさんのケースですが、よく「加害者は被害者」と言われます。誰かにつらくあたる人は以前、別の誰かにつらくあたられた過去があり、それがトラウマ(心の傷)となって、人に対して適切な態度をとれなくなっている可能性があります。

お嫁さんにキツくあたる姑はかつて嫁だったときに、姑と折り合いが悪かったという話をみなさんも聞いたことがあると思いますが、それはそういう理屈なのです。

このような話をすると、Aさんは少し考えていましたが、

「そうですね。少し物事を引いて見たほうがいいようですね」

と、納得したような表情を見せてくれました。

後日談ですが、しばらくするとその取り引き先の人は異動になり、Aさんの前からいなくなったそうです。

このように、時間が経過することによって、問題のほうから遠のいていく例も私はこれまで数多く見てきています。

「問題は永遠には続かない」と考えるのも「割り切り力」のひとつかもしれません。
〈割り切るためのヒント〉

① イヤな人、苦手な人は自分を取り巻く人たちの何割か、数値化してみる。意外と割合は少ないのかもしれない。

② イヤな相手の状況を想像してみる。イヤな相手も職場でストレスを感じることがあって、こちらにあたっている可能性あり。

③「問題は永遠には続かない」と考えてみる。仕事関係であれば、相手の転職や異動などで問題が解決することもあり得る。

⭐️コメントです。

昨今は、早期退職された後、その後の生活への戸惑い、再就労への焦りや不安から心身に変調を来たし、来院される方も多いです。

年齢的に厳しい状況で、ご本人をいかに支えるか、

難しい課題です。

自分のための時間、家族と共有する時間と発見、

気になるあの人との再会、ボランティア活動を通じての人との出会いと信用の創造、その後

就労への外出準備、就労を試験的にやってみる、など助言しております。海浜ハートケアクリニックでは、リラックスできる空間作りを心掛けています。大人はもちろん、子供さんの書籍もご用意していますので、お気軽にお申し付け下さい。

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海浜ハートケアクリニック
院長 仲宗根 敏之
〒654-0045 兵庫県神戸市須磨区松風町5丁目2-33
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※(心療内科・精神科)パニック障害・不安神経症・不眠のご相談は当院へ
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by nakasone | 2017.10.21 |